『なぜ経済学は自然を無限ととらえたか』
書 名:『なぜ経済学は自然を無限ととらえたか』
著 者:中村 修
出版社: 日本経済評論社(1995年)
<ひとこと解説> 自然科学の原則に照らして見れば、資源の限られた地球環境の中で無限の経済成長はあり得ない。経済学は科学的な思考からずれてしまっており、しかもそれを正そうとする論議を抹殺してしまった。現在の経済学の根本的な間違いを、熱力学(エントロピーの法則)の視点と経済学の歴史調査に基づいて分析指摘している。
<感想など> 現在の経済学で当然とされて目標になっている「永遠の経済成長」という考えは、あまりにも疑いを持たれずに受け入れられています。でも、それは不可能。そのことについて、科学的な視点と歴史的な視点から詳しく解説されています。
科学的な視点(熱力学:エントロピーの法則)の部分は、若干専門的ではありますが、このことを理解すれば、経済学がどれだけ非科学的かが分かります。「限られた資源」に関して言えば、例えば地熱など無限に近いものを開発すれば克服できると言う人もいますが、エネルギー以外の限られた資源も無くなりますからね。そして見落とされているもっと大きな問題は、使えるエネルギー源を何らかの方法で増やすとそれを使うことでこれまで地球圏内に無かった廃熱が発生して、たまってしまうということです。
歴史的な面の考察も面白いです。無限の経済成長は不可能というとても大切な話題が、経済学でなぜ取り上げられないのかという疑問に一つの答えを示してくれます。
経済学の専門家から、この本への反論が出ているのか、どんな反論ができるのか、興味が有ります。
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